これまでの僕のブログ執筆は、ブログ投稿画面のテキストエリアか、個人用Scrapboxのどちらかで行っていました。それらで特別困ってはいなかったのですが、世の中には文章を書くことに特化したアプリもあるし、使ってみてもいいのでは? と思って、数あるエディタアプリの中から1つ選ばせてもらいました。それが今この記事を書くのにも使っているiA Writerです。選択の経緯を振り返りながら、僕がiA Writerのここがいいなと思った点を書いてみます。
2020年 Markdownエディタ検討 | 僕がiA Writerに決めた理由と検討の様子
エディタを調べて候補をピックアップ
とにもかくにもまずは探すところからです。実際には次のリストの3倍くらいのアプリを見ましたが、最初の候補に上がったのはこのくらいです。
- Typora
- シームレスなMarkdownプレビューが売りのエディター
- Bear
- メジャーなエディタ。機能は申し分ないほど揃っている
- iA Writer
- ミニマルでノイズが削ぎ落とされたライティング体験
- Ulysses
- ミニマルで編集や整理といったライティング周辺まで
僕がどうしてもエディタに外せないと思っている機能が、(リッチテキストではなく)Markdownで書けることです。それに加えデザインが洗練されていること。できればリアルタイムプレビューもできたらいいなと考えていました。
機能のチェック。そして見比べてみる
それぞれのエディタについて、自分に合っているかどうか考えてみました。以下はそれぞれのエディタの感想です。
- Typora
- Scrapboxに似たようなリアルタイムプレビューのコンセプトが秀逸。プレビュー用の別画面を並べなくて良いという点で使いたいと思いましたが、プレビュー時のガタツキがとくに見出しのところで気になってしまいました(ジャンプ率が大きいと難しいかもしれないですが……)。あとiPadでも使えたらいいなと思いました。
- Bear
- 機能的には申し分ないと思いました。個人的にエディタにはこういった可愛さは求めていないという理由で候補から外れました。エディタのテーマは変えられますが、その他のUIのフォントは変えられないのでしょうか。リアルタイムプレビューはなさそうです。Markdownメモ帳でしょう。
- iA Writer
- Markdownに忠実で執筆機能は必要十分なだけを備えています。FinderのiCloud Driveからデータにアクセスできます。Macでのリアルタイムプレビューあり。本当に余計なものがないです。iOSはフリートライアルがなく、買ってみるまでどんな体験ができるのかがわからないのが不安要素です。
- Ulysses
- Markdownエディタに執筆サポート機能をいろいろつけたアプリという印象。デフォルトのマークアップが Markdown XL になっているので、アノテーション記法が使えます。加えて細かな統計情報やゴール機能などをみるに、単なるテキストエディタじゃないよ感を感じます。リアルタイムプレビューがiPadでつかえます。
こうして比べてみていたら、iA Writer と Ulysses のどちらかがいいなと思いはじめました。正直この2つはめっちゃ迷いました。最低限の機能はどちらも備えていて大きくは変わりません。
- Markdown
- リアルタイムプレビュー
- フォルダ機能
- 画像添付
- 文字数カウント
- クロスプラットフォーム
ここまでくると、もうあとは好みなんじゃないかと思ったわけです。ディティールの違いをつぶさに見たときに手に馴染む体験ができるのはどちらなのか。プロダクトの思想に共感するのはどちらなのか。
そういう意味では、iA Writerは、Finderからデータにアクセスできるので、iA Writerというアプリを使っていながらも、Markdownを素で扱っているような感覚があります。画像の出し入れも便利。アプリにロックされずポータビリティが確保されています。また、極めてシンプルなUIのおかげで、アプリ自体を意識しないので、ノイズをカットしたミニマルなエディタというコンセプトがよく現れています。
一方Ulyssesは様々な執筆をサポートする機能を盛り込んでいます。Markdown XLのアノテーション記法が使えたり、細かな統計情報をまとめて出しておけます。あと、複数のドキュメントの管理をしたいなんて人には、ドキュメントの構造化もしやすいのが良いでしょう。iPadでリアルタイムプレビューができるのも素晴らしいです。エディタは結構カラフルになります。
僕はiA Writerにした
エディタはあくまでも執筆と記事投稿前のポストプロダクションをサポートするツールなので、取り回しの良さと内容に集中できることが、僕にとって重要な価値です。
気持ちよく文章がタイプできて、原稿に追加の手を加えなくともそのまま投稿できることが重要だと思いました。ブログシステムと接続したり、大量の原稿をアプリ内に一度に抱えることもありません。
主な理由は「ポータビリティ」「ミニマルなデザインと執筆体験」「プロダクトの思想に共感」です。
理由1. ポータビリティと可視性
ターミナルからmdファイルを移動できたりするので、Finderからアクセスできるのは何気に便利です。画像の添付をするとアプリ内のライブラリにドキュメントと同じ扱いで並ぶのが良いなと思いました。ブラックボックスじゃないです。
理由2. ミニマルなデザインと執筆体験
削ぎ落とされた機能とミニマルなUIが、VSCodeやVimなどでMarkdownを書いているときのことを思い出させてくれます。コードを触ってるような感覚が好みです。拡張された記法はつかえないので、ブログに貼り付けたあと、うっかり拡張記法を使っていたことに気づくといったことがなくていいです。MacでのLiveプレビュー体験も心地よいです。
理由3. プロダクトの思想に共感
この手のアプリは、デフォルトの設定がどうなっているかをみるとプロダクトの思想がわかりますね。UlyssesはMarkdown XLで拡張して便利にしましょうとか、ちょっとしたことでも書き留めて、フォルダで階層整理しましょうみたいなのがみえました。対してiA Writerはそういう押し付け的なのがありません。エディタもグレースケールのプレーンなテーマがデフォルトになっています。公式サイトで「ミニマルを保ち続けます」と言ってるのも最高だと思います。
ということでiA Writerに満足しています。タイプしているとき、余計なことを考えずに内容に集中できて気持ちが良いです。たくさん書きたくなりました。
好みが分かれそうな細かな挙動
とうぜん好みが分かれそうな挙動もあります。
- ライブラリに表示されるドキュメント名は自動で変わりません
- Finderを映しているだけと考えたら一貫性があるので僕は気になりませんでした(フォルダもそのまま表示されます)
- iPadでリアルタイムプレビューができない
- Magic Keyboardがあったら⌘+Rで瞬時にモードを切り替えられるので僕は気になりませんでした
好きな人がいれば嫌いな人がいるという感じですね。
どのアプリも基本的な機能は十分に備えているので、どれを使っても実用上はそんなに変わらないのかなと思います。もし同じように検討されている方がおられましたら、実際にいくつか触ってみていただいて、手に馴染むエディタを選んでいただくのが良いのかなと思いました。