じゃじゃーんをやめる。デザイン案はできるだけ早い段階でオープンにするのがおすすめ

日頃デザイン案をどの段階で他者に見せていますか。わたしは最近、途中でもできるだけ早い段階でチームメンバーにデザイン案をオープンにしていくということを試してみています。

具体的には、Adobe XDでウェブデザインのモックアップを作成しているのですが、プレビューのシェアURLをグループウェアやGitHubのIssueに貼っておくというものです。翌日には新しいボタンが増えているかもしれないし、一週間後にはガラッと印象が変わってるかもしれない、という断りも添えて。

最初からほぼ最終の段階まで誰にも見せずに、多くの時間をかけてからできましたとメンバーに見せること。これをじゃじゃーんと呼んでいます。これはチームで仕事をしていく上では次の点からアンチパターンでしょう。

  • 向かう方向が見当違いだった場合に手戻りが多く発生する
  • 他者からみると順調なのか困っているのかわからない
  • 他者の仕事をブロックする可能性がある

ただ、人それぞれにペースがあるでしょうから、ある程度手元で温めることはなんら問題がないとは思います。わたしも数週間の間、アイデアを秘密にしておいて、温めているケースはあります。

では、じゃじゃーんをやめて、早い段階でデザイン案をオープンにすることにはどんなメリットがあるのでしょうか。

じゃじゃーんをやめるメリット

最終的なアウトプットさえよければ、正直どんなプロセスであっても良いと思いますが、それでも早い段階からデザイン案をオープンにしていくことは、それをしないことに比べてメリットが多いと考えています。

  • 見当違いのものを考えることに時間を使ってしまうことを防げる
  • 何が良くて何が良くないかのデザイン品質に関する対話が増える
  • 他職種の視点からデザインの過不足について意見が集まる
  • デザインのプロセスにチームメンバーが参加することで「チームでプロダクトを作った」というストーリーが生まれ納得感が強まる
  • 人に見られている感覚が強まり、自分をモチベートできる
  • 案を練っている間、他者から見て何をしている人なのかわからない状態を減らせる

テクニカルなものから仕事の進め方まで様々なメリットを日々感じています。

じゃじゃーんをやめるリスク

逆に早い段階からオープンにすることは、デザイナー視点でいくつかのリスクがあるかもしれません。

  • 他者の意見に揺さぶられてデザインが丸くなってしまうリスク
  • デザイナーの主体性が失われてしまうリスク
  • 不本意なコミュニケーションコストが発生してしまうリスク

これらは仕事の進め方やメンバーとの関係性の中で、うまく立ち回ることができれば問題にならないものでもあります。

かならずしも0か1かにこだわる必要はないので、どのくらいオープンにしていくことが自分にとって最もパフォーマンスが出せるのか、ちょうど良い塩梅を見つけてみてください。

ちなみに受託案件の場合、クライアントに対してあまりにも早くから共有してしまうと、逆にネガティブな印象を与えてしまう場合があるかもしれないので注意が必要です。目に見えるものは独り歩きしやすく、デザイナーにとってのスケッチが最終成果物のイメージと捉えられてしまう事があるからです。これはプロジェクトの状況やクライアントとの関係性に応じて上手に処理する必要があります。


効率的なデザイン活動とより高品質なデザインを目指すならば、デザインのプロセスをオープンにして他者と対話する機会を増やしてみましょう。最初は怖いかもしれませんが、様々な人の目に触れることで思いもしなかった意見が集まり、学びを得られます。何より人とデザインの話をするのは楽しいことですよね。